薬食同源:中国向け輸出食品におけるコンプライアンスは「グリーンライト」か、それとも「落とし穴」か?
中国向け輸出食品、健康食品、漢方薬関連製品のビジネスにおいて、「薬食同源」は頻出用語である一方、法令順守上の危険地帯とも言えます。海外では一般食品やサプリメントとして販売されている製品でも、中国市場へ輸出する際には、その成分が「薬食同源」に該当するかどうかによって、一般食品、保健食品、さらには医薬品としての区分が決まり、輸出手続き、表示要求、市場ポジショニングに大きな影響を与えます。
本稿では、「薬食同源」リストの管理体系、登録・承認メカニズムを解説し、『中国薬典』および一般食品原料リストとの本質的な違いを整理します。
一、「薬食同源」リストはどのように管理されているのか?
「薬食同源」は曖昧に使える概念ではなく、国の権威当局が厳格に管理する法定目録に基づく制度です。
正式名称:「既是食品又是药品的物品名单」(伝統的に食品としても医薬品としても使用される物質リスト)
制定・管理機関:国家衛生健康委員会(NHC)が国家市場監督管理総局(SAMR)などの関連部門と共同で制定・公布・管理しています。
更新頻度:リストは定期的に更新されるのではなく、食品安全性リスク評価結果、古来の食習慣、業界の発展ニーズなどを踏まえ、随時品目追加や内容調整が実施されます。毎回の更新情報は公的機関の公式公告として発表されます。
二、新規素材が「薬食同源」リストに追加されるまでのプロセス
素材を「薬食同源」リストに収載するには、厳格で長期間を要する科学的評価と行政審査のプロセスが必要であり、企業側が簡単に申し出て実現できるものではありません。
安全性評価の立ち上げ:通常、国家衛生健康委員会は科学研究の進捗、業界からの申し込み、管理上の必要性などに基づき、伝統的な食用習慣のある生薬を対象として安全性評価を開始します。
科学的研究・検証:膨大な科学データによる裏付けが不可欠で、その素材を食品として摂取した場合に人体に安全で何ら害がないことを証明する必要があります。これには毒性学研究、栄養成分分析、人々の食用歴に関する調査などが含まれます。
意見募集:初期評価後、社会へ公開意見募集を行い、各方面からのフィードバックを収集します。
正式公布:総合的な審査後、「既是食品又是药品的物品名单」(伝統的に食品としても医薬品としても使用される物質リスト)に正式掲載されます。
三、三大リストの本質的な違い:表でまるわかり
「薬食同源」を正しく理解するポイントは、『中国薬典』や一般食品リストとの境界線をはっきりさせることです。この 3 つのリストは、それぞれ全く異なる製品の位置づけと、管理上のルールを定めたものです。
| リストの種類 | 核心の位置づけ | 規制のルール | 製品区分 |
|---|---|---|---|
| 薬食同源リスト | 安全性を最優先とし、効能を兼ね備える | 一般食品への添加が認められていますが、保健効能や治療効果について一切宣伝してはなりません。 | 一般食品 |
| 『中国薬典』リスト | 疾病の治療 | 医薬品として管理され、適応症や用法・用量が厳格に定められており、疾病の予防・治療・診断に用いることができます。 | 医薬品 |
| 一般食品原料リスト | 栄養を供給し、食欲を満たす | エネルギーと基礎的な栄養を補給するにとどまり、いかなる医薬品成分の添加も厳しく禁止されており、効能を宣伝することもできません。 | 一般食品 |
簡単に言うと:
- 薬食同源の素材は「食べられる生薬」ですが、食品として扱う以上は薬としての性質を「忘れ」なければならず、一般食品だけとして販売することになります。
- 『中国薬典』に収載されている生薬は「病気を治すための薬」であり、一般食品に自由に添加することはできません。
- 一般食品の原料は「純粋な食材」であり、「薬」とは無関係です。
四、コンプライアンス上の活用例:「葛根(かっこん)」と「五味子(ごみし)」を例に
当社がまとめた中国輸入コンプライアンス資料によると、葛根と五味子はいずれも「薬食同源」リストに収載されています。つまり:
適合する中国輸入ルート:葛根または五味子のエキスを含む製品は、一般のプレパッケージ食品(例:葛根粉末、五味子茶、機能性飲料など)として中国に輸入することができます。
コンプライアンス上の前提条件:
- 成分の純粋性:製品の配合に、承認されていない医薬品成分や、薬食同源リストに含まれない又は生薬が含まれていないことを確認する必要があります。
- 表示の適合性:製品の中国語表示は『食品安全国家基準 プレパッケージ食品表示通則』(GB 7718)の要件を満たさなければなりません。また、「肝臓を守る」「腎を補う」といった保健機能を標示したり暗示したりすることはできません。
まとめ
「薬食同源」は中国特有の規制概念であり、生薬が食品分野に進出する道を開いていますが、その範囲には厳格な枠組みが設けられています。海外製品の中国輸出事業を行う企業にとって、製品に含まれる成分の区分を正確に判断することは、適正な中国輸入を実現し、貨物の留置・返送・廃棄といったリスクを避けるための最初の一歩であり、最も重要な一歩でもあります。中国輸入作業を行う前には、必ず処方について専門的な適合性審査を実施してください。
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